iモードとは、NTTドコモが1999年2月22日にサービスを開始した、携帯電話でインターネットに接続できる機能です。
この技術により、携帯端末を通じて手軽にインターネットを利用できるようになり、若者を含めた一般の人々にもインターネットが一気に身近なものとなりました。
個人向けインターネットは1995年に発売されたWindows 95によって普及し始めましたが、家庭内で共用するものであり、家族に内緒で使うことは難しいものでした。
iモードは、学生なども含めた若年層が手軽にインターネットを利用できるツールとして普及し、出会い系サービスにとっても大きな転機となりました。
2000年前後に最も人気を誇ったのはNTTドコモのiモードですが、J-フォン(現ソフトバンク)のJスカイやKDDI(現au)のEZWebなど、他社も続々と携帯電話向けのインターネットサービスを展開していました。
特にドコモは、画面が大きい折りたたみ式の携帯端末(通称「パカパカ」)をいち早く導入し、シェアを大きく拡大しましたが、携帯キャリアを問わず共通で利用できるWebブラウザの登場により、すべての携帯ユーザーが同じ出会い系サイトを利用できる環境が整いました。
当時のiモードには、携帯電話向けWebブラウザ以外を開くと制限がかかる場合もありましたが、iモード専用の出会い系サービスは少なく、インターネット機能さえあればどの携帯でも出会い系サイトを利用できたのが特徴です。
2000年代初頭、出会い系サイトで「3強」と言われていたのが以下の3つのサービスです。
1999年登場 | スタービーチ(当初はFriends!) |
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1999年登場 | エキサイト出会い(現エキサイトフレンズ) |
2002年登場 | ヤフーパーソナルズ(現ヤフーパートナー) |
当時は無料で利用できるサービスが多く、最大手とされたスタービーチは、1日で1,200万アクセス、月間4.5億アクセスを記録するなど圧倒的な人気を誇りました。
この他にも、現在も根強い人気を持つ「ワクワクメール」や「ハッピーメール」などの出会い系サービスが2000年代前後に続々と登場しています。
iモードの普及によって、それまで社会人男性が主流だった出会い系ユーザー層が、高校生や大学生を含めた若者へと広がりました。
これにより、ネット上での出会いが真剣交際へと発展するケースも増え、「ネットナンパ」という言葉が生まれたのもこの時期です。
出会い系サービスは、老若男女問わず多くの人々に認知され、楽しめるコンテンツへと進化していきました。
しかし、需要が急拡大する一方で、業者が乱立し、サクラを使った詐欺的な課金型の出会い系サイトが急増するという問題も同時に発生しました。
スタービーチなど大手サイトの登場によって、出会い系業界は大きく盛り上がり、2000年代後半まで「黄金時代」が続きました。
しかし、この「第一次出会い系黄金期」が終わりを迎えるきっかけとなったのは、2008年に施行された改正出会い系サイト規制法と同年に登場したiPhoneでした。
2008年に日本に初上陸したiPhone 3Gは大きな注目を集めましたが、2010年代に入るまでの間は「ガラケー」(従来型の携帯電話)が依然として主流で、高いシェアを維持していました。
2000年代に急増した出会い系サイトではトラブルも増加し、法規制の強化によって多くの出会い系サイトが姿を消していきます。
こうした法規制の強化やスマートフォンの普及により、出会い系業界は大きな変革を迫られることになり、従来の出会い系サービスは姿を消しつつありました。
2012年に登場したマッチングアプリ「Pairs(ペアーズ)」のような新たなサービスが生まれるまで、出会い系業界は一時的な停滞期、いわゆる「暗黒期」に入りました。
この第一次出会い系黄金期の終焉は、悪質業者の乱立と法規制の強化が大きな要因だったと言えるでしょう。